
ゲーマー
PS5も買ったしゲーミングPCも前から使ってるんだけどなんか出てるフレームレートよりかくかくしている気がするんだよね…。壊れてるかもしれないからメーカーにクレーム言った方がいい?

(ZACK IT編集)
それは待った方がいい。そもそもPS5とかゲーミングPCってどの機器に映像出力してる?まさか1万円前後で買った激安60Hzモニターじゃないよね?(笑)
ゲーミングモニターについて
ゲーミングモニターとは、ゲームを快適にプレイするために特化したモニターのこと。一般的なモニターとの大きな違いは、「表示遅延の少なさ」と「動きの滑らかさ」の2点に集約される。
表示遅延の少なさ、すなわち応答速度(ms)は、画面の色が変化する速度を示す。応答速度が速いほど、映像の残像感が少なく、動きの速いゲームでもクリアな映像でプレイできる。特に、FPSや格闘ゲームなど、コンマ数秒の差が勝敗を分けるようなゲームでは、応答速度の速さが重要となる。
動きの滑らかさを示すのはリフレッシュレート(Hz)である。1秒間に画面が何回書き換わるかを表しており、数値が高いほど滑らかな映像となる。一般的なモニターのリフレッシュレートは60Hzであるが、ゲーミングモニターでは昨今の人気モデルだと180Hz、240Hz、さらには360Hzといった高リフレッシュレートの製品が多く、より滑らかで快適なゲームプレイを体験できる。
これらの要素に加え、画面のティアリング(映像のズレ)やスタッタリング(カクつき)を抑える同期技術(FreeSyncやG-SYNC)への対応も、ゲーミングモニターの特徴と言える。
ゲーミングモニターとテレビの違いは?
ゲーミングモニターとテレビは、共に映像を表示するデバイスであるが、用途と設計思想に大きな違いがある。テレビは、映画やドラマなどの映像コンテンツを大画面で楽しむことを主眼に置いている。そのため映画やテレビ番組が基本的に24fps(1秒間に24回映像が書き換わる)で製作されているため、テレビの性能自体速いリフレッシュレートを全く必要としない。そのため60Hzのテレビが主流だ。
一方、ゲーミングモニターは、ゲームタイトルにもよるがフレームレート制限がないものも少なくなく、人間の視認可能なリフレッシュレートは数百Hzに及び違いを知覚できるため、基本その範囲でフレームレートを上げれば上げるだけプレイにおける快適性が上昇する為、応答速度、映像の滑らかさなどを重視している。

ゲーミングモニターから音が出ない!?
ゲーミングモニターを購入してよく聞く悩みが音が出ないといったトラブル。周りの知り合いでも聞いたことがあるのではないだろうか。これは、ゲーミングモニターとテレビの設計思想の違いからくる齟齬で、当然テレビっ子であれば本体から音が出るのが当たり前であるという認識が多いだろう。しかしゲーミングモニターの場合そもそもゲームプレイや配信においてゲーミングヘッドセットや音質の優れたスピーカーに繋ぐユーザーが圧倒的に多く、メーカーとしてもニーズやコストの問題からスピーカー非搭載のモデルが少なくない。とはいえしっかりとスピーカー搭載を謳う機種もあるにはあるので訪れた販売店の店員に聞いてみたり、ネットであらかじめ調べてから購入するといいだろう。
だが断っておきたいのは、ゲーミングモニターを複数台購入した経験上、本体に備え付けのスピーカーの音質には絶対期待すべきではない。スピーカーのざっくりとした音質を知るのに簡単な方法がある。スピーカーの仕様表に書かれたW数を確認することだ。もちろんこれですべてを把握できないこと断っておくが、これの数値が片方1~3Wずつ(ステレオの場合)であればほぼ音質には期待できない。またDolby AudioやDolby Atmos等Dolby Sound系のスピーカーを搭載している場合であれば外部スピーカーに劣らない性能を持つことも期待できるが、そうではない場合テレビのスピーカーレベルの音は期待しないことだ。ふつうに数千円で購入できるレベルのヘッドホンやスピーカーを別途購入して接続したほうが幸せになれる。
ゲーミングモニターを選ぶメリット
ゲーミングモニターを選ぶ最大のメリットは、快適なゲーム体験が得られることである。高リフレッシュレートと高速応答速度により、残像感の少ない滑らかな映像でゲームをプレイできる。これにより、敵の動きを正確に捉えたり、素早い操作に対応したりすることが可能となる。また、FreeSyncやG-SYNCといった同期技術に対応したモニターを使用することで、画面のティアリング(映像のズレ)やスタッタリング(カクつき)を抑え、より快適なゲーム環境を実現できる。
ただし、PS5をメインで使用している場合、最大でもゲーム機側の対応が120Hzまでの為、高級ゲーミングモニターを買ってもそこまで恩恵がない場合もあるうえ、PCゲームにおいても格闘ゲームやRPG系が多い場合高リフレッシュレートモニターの恩恵を受けづらい。
ゲーミングモニターのデメリット
ゲーミングモニターのデメリットとしては、価格が比較的高価であることが挙げられる。特に、高リフレッシュレートや高解像度、最新のディスプレイ技術を搭載したモデルは、テレビに比べて高価格帯となる傾向がある。
また、テレビに比べて画面サイズが小さい製品が多いこともデメリットと言える。製品が多いサイズとしては、24インチ前後から大きくても32インチ程度と言われており、42インチや50インチといっ大画面で映画やゲームの壮大な世界観などを楽しみたい場合は、テレビの方が適している場合がある。
量子ドットとは?
最近ゲーミングモニター界隈でもよく聞く量子ドット(Quantum-dot)という用語がある。メーカ製品を見ても「量子ドット」や「QD」と表記されている場合にはこれにあたる。
量子ドット技術を採用したモニターとは、簡単に言うと通常の液晶モニターに搭載されたフィルターを通して表示された場合は青色光が際立っていた課題があったものに対し、量子ドット層を加えることによってバックライドから発せられる光を効率よく緑や赤に変換することが可能となり、結果的に全ての発色のバランスを改善することに成功したモニターである。従来の液晶ディスプレイでは表現が難しかった鮮やかな色彩や、より自然な色表現を実現できる。
量子ドットのおすすめモニター
量子ドット技術を採用したモニターは、色再現性の高さが魅力である。特に、クリエイティブな作業や、色の正確さが求められるゲームに適している。具体的なおすすめモデルとしては、各メーカーから発売されている量子ドット搭載のゲーミングモニターが挙げられる。製品を選ぶ際は、解像度、リフレッシュレート、応答速度なども考慮に入れると良い。
仕様 | |
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メーカー名 | TITAN ARMY |
型番 | P2710R MAX |
解像度 | WQHD (2560 x 1440) |
画面サイズ | 27インチ |
パネル種類 | FAST IPS & QDLED (量子ドット) |
リフレッシュレート | 180Hz |
応答速度 | 通常時: 5ms (GTG) OD時: 1ms (GTG) |
コントラスト比 | 通常時: 1000:1 DCR時: 1,000,000:1 |
色域 | DCI-P3 99%/Adobe RGB 99%/sRGB 100% |
HDR | DisplayHDR500 |
接続端子 | 2x HDMI 2.0 2x DP 1.4<br>1x Audio Out |
可変リフレッシュレート | Adaptive-Sync (VRR対応) |
VESA | 100×100 (マウンター別売) |
TITAN ARMYは直近2~3年で知名度を獲得してきた新興メーカー。ただ、PC専門店のモニター売り場でも見かけるようになって怪しいメーカー感はない。サポートも1年と競合メーカーと比べれば短いものの安心感はそれなりにあり、使用しているユーザーも少なくない。価格もASUSやDELLといった有名ブランドと比較すると1段手の届きやすい価格が特徴。
ゲーミングモニターやPCといえばMSIという名前を聞いたことのある人は少なくないだろう。Amazonではなくても購入できる販売店は多く、当サイトでは自作PCのトピックを数多く手掛けるがマザーボードでも大変有名なブランド。
仕様 | |
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メーカー名 | MSI |
型番 | MAG 274QRF QD E2 |
解像度 | WQHD (2560 x 1440) |
画面サイズ | 27インチ |
パネル種類 | RAPID IPS (量子ドット) |
リフレッシュレート | 180Hz |
応答速度 | 1ms (GTG) |
コントラスト比 | 1000:1 |
色域 | sRGB:99%/AdobeRGB:94%/DCI-P3:98% |
HDR | DisplayHDR 400 |
接続端子 | HDMI 2.0b ×2/DisplayPort 1.4a ×1/ USB Type-C(DP Alt mode、USB PD) ×1/ USB 2.0 Type-A(USBハブ) ×2/USB 2.0 Type-B(PC接続用)×1/ ヘッドホン出力 ×1 |
可変リフレッシュレート | Adaptive-Sync |
VESA | 100×100 (付属のスペーサーネジにて対応) |
有機ELとは?
有機EL(OLED)とは、有機物に電流を流すことで発光する現象を利用したディスプレイ技術である。液晶ディスプレイとは異なり、バックライトを必要とせず、画素自体が発光するため、非常に高いコントラスト比と、暗いシーンにおいて素子が消灯する為、漆黒を表現できるのが特徴。また、応答速度も液晶とは比べ物にならないほど早く、動画の表示も滑らかである。デメリットとして焼き付きが上がることが未だに多いが、ゲーミングモニターで直近発売されたモデルだと各メーカーがしのぎを削って焼き付き防止機能を搭載してきており、より長期使用における安心感は高まった。
QD-OLEDとは?
QD-OLEDは、Samsungが製造している有機ELパネルで、量子ドット技術と有機EL技術を組み合わせた最新のディスプレイ技術である。青色有機EL素子を発光源とし、量子ドット層で赤や緑に変換することで、より純粋な色表現と、高い輝度を実現している。
WOLEDとは?
WOLEDは、LGが開発する有機ELパネルで、白色有機ELを発光源とする有機EL技術である。白色有機ELにカラーフィルターを組み合わせることで表現の豊かで高いコントラストの映像を表現している。
有機ELのおすすめモニター
有機ELモニターは、その圧倒的な画質と応答速度の速さから、映像鑑賞用としてはもちろんハイエンドゲーミングモニターとしても活用可能。特に、暗いシーンが多いゲームや、HDRコンテンツの視聴に適している。
仕様 | |
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メーカー名 | ASUS |
型番 | ROG XG27AQDMG |
解像度 | WQHD (2560 x 1440) |
画面サイズ | 26.5インチ |
パネル種類 | WOLED (有機EL) |
リフレッシュレート | 240Hz |
応答速度 | 0.03ms (GTG) |
コントラスト比 | 1,500,000:1 |
色域 | DCI-P3:99% sRGB:135% |
HDR | DisplayHDR True Black 400 / HDR10 |
接続端子 | DisplayPort 1.4 ×1/HDMI 2.0 ×2/ USB 3.2 Gen 1 Type-A ×2/ イヤホンジャック ×1 |
可変リフレッシュレート | G-SYNC Compatible / Adaptive-Sync / FreeSync Premium |
VESA | 100x100mm |
ROG XG27AQDMGは2024年10月に発売されたばかりの新型白色有機ELゲーミングモニター。その10万円を下回るコスパの良さで注目の機種。
ミニLED(Mini LED)とは?
ミニLEDとは、従来のLEDバックライトに比べて非常に小型のLEDを多数配置したバックライト技術である。これにより、画面の明るい部分と暗い部分をより細かく制御することが可能となり、コントラスト比の向上や、HDR表現の向上に貢献する。
ローカル調光(Local Dimming)とは?
ローカル調光/ローカルディミングとは、LEDバックライトの制御技術の一つである。画面を複数の領域に分割し、それぞれの領域の明るさを個別に制御することで、有機ELに及ばずとも劣らないようなコントラストの高い映像を投影可能。これにより、通常のLEDバックライトでは暗いシーンでも白ボケたような映像になってしまう課題をかなり改善することができる。暗いシーンでは該当領域のLEDを消灯することで、漆黒の黒を表現することが可能となる。
ミニLED(Mini LED)のおすすめモニター
ミニLEDモニターは、高輝度と高コントラストを両立しておりHDR映像に最適である製品が多いのが特徴。それでいて有機ELモニターよりも手の届きやすい価格であることが多いため、こちらを選択するユーザーが増加傾向。
Xiaomiが2024年後半にゲーミングモニターへの参入が発表された際は、そのあまりにも高いコストパフォーマンスで界隈が騒然となった。価格破壊のXiaomiについては別の記事でも触れた通り。ローカルディミングによる分割は1152ゾーンにわたり、複雑なLED制御と輝度によってHDR 1000に対応する。
仕様 | |
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メーカー名 | Xiaomi |
型番 | P27QBA-RGPGL(G Pro 27i) |
解像度 | 2560 x 1440 (WQHD) |
画面サイズ | 27インチ |
パネル種類 | Q-dot Fast IPS Mini LED, 1152ゾーン分割(ローカル調光) |
リフレッシュレート | 180Hz 144Hz |
応答速度 | 1ms |
コントラスト比 | 1000:1 |
色域 | DCI-P3 99%/Adobe RGB 97%/ sRGB 100% |
HDR | HDR1000 |
接続端子 | DisplayPort 1.4 x2/HDMI 2.0 x2/ オーディオ端子 x1 |
可変リフレッシュレート | AMD FreeSync Premium (G-SYNC互換モード対応) |
VESA | 75 x 75 mm |
まとめ
この記事では、液晶、量子ドット、有機EL、ミニLED(Mini LED)といったディスプレイ技術の違いについて解説しながらおすすめゲーミングモニターを紹介してきた。ゲーミングモニターを選ぶ際は、これらの技術の特徴を理解し、自身の用途や予算に合わせて最適な一台を選ぶことが重要である。特に、PS5や特にPCゲームなどで最新ゲームタイトルを楽しみたい場合は、高リフレッシュレートや高速応答速度に対応したモニターを選ぶことで、より快適なゲーム体験が得られるだろう。各技術のメリット・デメリットを比較検討し、至高のゲーミングモニターを見つけてほしい。