ゲーミングパソコンを低予算で組みたいけどRYZEN APU
はグラボなくても結構ゲームできるんだよね??
(ZACK IT編集)
2024年2月に国内販売解禁されたAMD RYZEN 8000Gシリーズのなかでも特に8700G/8600Gはグラボなしの内臓GPUでフルHDのゲーミングが可能なスペックを持っているよ!
筆者がパーツ一式を用意して検証したからぜひ最後まで読んでね。
AMD RYZEN 8000Gシリーズ概要
主な特徴
AMD RYZEN 8000Gシリーズは現在4種類発表済みだが、国内の販売店で購入可能なモデルは2024年3月時点で上位3機種のみだ。最下位の8300GはPCメーカーやBTOメーカー各社のエンベデッド(いわゆる組み込み向け)に限られるようだ。
細かな違いは下図を参照してほしいが、内臓GPU性能が下位モデルに連れて下がっていくため予算に余裕があれば最上位の8700Gか次点の8600Gを入手したいところだ。コア/スレッド数も最大8コア16スレッド(8600Gは6コア12スレッド)とゲームプレイ用途の他動画編集にも最適なAPU(CPU)だ。
製造ライン | AMD RYZEN 8000Gシリーズ | AMD RYZEN 8000Gシリーズ | AMD RYZEN 8000Gシリーズ | AMD RYZEN 8000Gシリーズ |
モデル | Ryzen 7 8700G | Ryzen 5 8600G | Ryzen 5 8500G | Ryzen 3 8300G |
国内発売日 | 2024年2月上旬 | 2024年2月上旬 | 2024年2月上旬 | ※国内はメーカー/BTOのみ? |
アーキテクチャ | Zen 4 | Zen 4 | 2 x “Zen4”, 4 x “Zen4c” | 1 x “Zen4”, 3 x “Zen4c” |
コードネーム | Phoenix | Phoenix | Phoenix | Phoenix |
プロセスルール | TSMC 4nm FinFET | TSMC 4nm FinFET | TSMC 4nm FinFET | TSMC 4nm FinFET |
対応ソケット | AM5 | AM5 | AM5 | AM5 |
コア数 | 8 | 6 | 6 | 4 |
スレッド数 | 16 | 12 | 12 | 8 |
ベースクロック | 4.2GHz | 4.3GHz | 4.1GHz(Zen4)/ 3.2GHz(Zen4c) | 4.0GHz(Zen4)/ 3.2GHz(Zen4c) |
ブーストクロック | 5.1GHz | 5.0GHz | 5.0GHz(Zen4)/ 3.7GHz(Zen4c) | 4.9GHz(Zen4)/ 3.6GHz(Zen4c) |
L2キャッシュ | 8MB | 6MB | 6MB | 4MB |
L3キャッシュ | 16MB | 16MB | 16MB | 8MB |
内臓GPU | AMD Radeon™ 780M | AMD Radeon™ 760M | AMD Radeon™ 740M | AMD Radeon™ 740M |
内臓GPUコア数 | 12 | 8 | 4 | 4 |
内臓GPUコアクロック | 2900 MHz | 2800 MHz | 2800 MHz | 2600 MHz |
PCI Express | 4.0 | 4.0 | 4.0 | 4.0 |
メモリータイプ | DDR5 | DDR5 | DDR5 | DDR5 |
メモリーチャネル数 | 2 | 2 | 2 | 2 |
AI Engine | 〇 | 〇 | ー | ー |
AI Engine Performance | 最大 16 TOPS | 最大 16 TOPS | ー | ー |
TDP | 65 | 65 | 65 | 65 |
4製品のうち、上位2機種はオールZEN 4コアで、下位2製品は一部”ZEN 4c”コアという構成になっている。”ZEN 4c”コアは動作クロックも低くTDPを抑えることができる一方性能はZEN4コアに劣るため、8600Gと8500GについてはいずれもRYZEN5で6コア12スレッドではあるものの性能の差は思ったより出そうだ。
また8600Gと8500Gの間での性能差についてより補足をすると、内臓GPUコアについても8500Gは削られているため、グラボなしでカジュアルにゲームを楽しみたいのであれば可能な限り8600Gもしくはそれ以上の8700Gを選択することをおすすめする。
こんな人におすすめ
- ライトゲーミング層(フルHD60fps)
- グラボなしでエアフロー的にすっきりしたPCを組みたい
- 低消費電力パソコンが欲しい
- 動画編集もしたい
価格.comでの評判
2024年3月24日時点でもうすぐ発売2か月前後だが、引き続き注目ランキング上位に8700G/8600Gがランクインしている。
対応マザーボード
RYZEN 7000シリーズと同様、X670/B650/A620チップセット対応のマザーボードで動作可能。
もう2024年6月時点でほとんどないと思われるが、BIOSバージョンがRYZEN 8000シリーズ出荷以前の在庫の場合、BIOSアップデートをしなければAPUを使用不可という場合もある。
店舗で購入する場合は、BIOSアップデートサービスをやってくれるところか店員にBIOSバージョンを確認できるショップで購入すると安心かもしれない。
ぶっちゃけAMD RYZENとintel Core iってどっちがいいの?
※2024/5/18追記
今回検証していくRYZEN 8000Gシリーズ自体PCI ExpressがGen4までの対応の為AMDの7000シリーズや最新のintel Core iシリーズと比べて足回りで劣っているのは否定できない。
しかしながらAPUのメリット自体、CPUと内臓GPUを1チップでフルHDクラスの3Dゲームをおおむね快適に動かせることをターゲットとした製品群であり、そうした上位機種たちと比較するのはいささか不公平というものである。
CPU+GPUの性能的な競合は実質Core i5 12400F(内臓グラフィック無し)+GTX1650といったところだろう。
となると8600Gは実勢売価約3.4万円に対して、12400F+GTX1650は約4.2万円であることを考えればAMD RYZEN 5 8600Gにコスパ面では軍配が上がるだろう。(2024年5月中旬の市場参考価格で比較)
実際に組んでみた
RYZEN 5 8600Gレビュー機材の主な構成
以前の白PC企画のAntec CX200M RGB WHITEの記事でも使用した構成でRYZEN 5 8600Gをレビューしていくだ。
パーツ | 型番・品名 | 備考 | 価格 |
ケース | CX200M RGB ELITE WHITE | 白ケース | Amazon |
CPU | AMD Ryzen 5 8600G BOX | Amazon | |
クーラー | AK400 DIGITAL WH | 白クーラー | Amazon |
M/B | B650M AORUS ELITE AX ICE | 白マザー | Amazon |
メモリ | CMH32GX5M2E6000C36W | 白メモリ | Amazon |
SSD | Lexar NM790 2TB | Amazon | |
電源 | SST-DA750R-GMA-WWW | 白電源 | Amazon |
RYZEN 7000シリーズと同様だが、以前のAM4とは異なりLGA方式だ。
組み込み時ソケットのピンを一本でも折らないように細心の注意を払って取り付けてほしい。
ヒートスプレッダの形がIntelや旧AMDのCPUとは打って変わって特徴的なデザインだ。
各種ベンチマーク・使用感
CINEBENCH 2024
CINEBENCH 2024では、2通りの検証を用意した。
1つ目は取り付けてBIOS設定は全てAUTOの状態で実施。
2つ目は、BIOS上でメモリのXMPを有効にし、定格4800Mhzから6000MhzへOCに加え、AMDのPresisino Boost OverDriveの設定をAUTOからMAX90度のLevel5※に設定した上で再度実行した。
※筆者が検証に使用したGIGABYTEのB650M AORUS ELITE AX ICEの設定項目によるものの為、ASUSやMSI、AsRockなどを使用した場合は項目や名前が異なる場合があるため注意。
BIOSでPBOの設定項目を弄りまわして性能向上しており、発熱も順当に増えるはずだが、CPUクーラーはDeepcool AK400に換装しているためMaxでも70度前半だ。
注目すべきは、BIOSでの設定を調整することによって、8600Gの通常最大5.0Ghzという上限を超え、ほぼ全てのコアが約5.3Ghzまで引き上げられて動作していたことだ。
勿論、CPUの定格以上での動作は動作保証対象外になると思われるので、BIOSでの設定は自己責任の上で行った。
3D Mark
こちらも定格AUTO設定と、メモリ+CPUのオーバークロック時の性能差を見ていきたい。
目を見張るのは、簡易オーバークロックでグラフィックスコアが10%超も改善している点だ。冷却に余力があればオーバークロックも選択肢だが、自身の判断で行っていただきたい。
ファイナルファンタジー15(FF15)ベンチマーク
こちらも3DMarkと傾向は変わらない。
簡易オーバークロックで10%近い性能上昇があるため無視できない。
原神で実際にプレイしてみた
原神では、螺旋の9層1間の戦闘時に実際どの程度フレームレートが出るか計測した。
こちらも定格時と簡易オーバークロック時で比較している。
検証に用意したモニターはリフレッシュレートが60。
定格時でもAverageは50以上出ており、FPSゲームと比較してそこまで高フレームレートを常時求められるタイトルでもないため、十分快適にプレイできるといえる。
簡易オーバークロック時は更に平均フレームレートが安定し、ほぼ60に近い数字が出ている。
ストリートファイター6 ベンチマーク
ストリートファイター6のベンチマークを実施。(※2024/3/31追記)
設定はフルHD(1920×1080)のノーマル(Normal)設定だ。
結果は下記のようになった。
Presision BoostとメモリのXMPプロファイルによるフレームレート改善がみられるものの、FIGHTING GROUNDでの平均fpsが30前後というのは格闘ゲームではやや厳しいという印象。
もしストリートファイターのプレイを検討中のユーザーは素直にグラボ追加をした方が幸せになれるかもしれない。
DaVinci Resolve動画書き出し速度
DaVinci Resolveの書き出し検証では、iPhone12 miniで撮影した4K60p動画を60秒に編集し、H264/H265で書きだす時間を計測した。書き出し時間に関しては、ソフトウェア上に表示されている”●●秒で完了”を表示された時間を参考にしている。
H264に関しては、簡易オーバークロックによって順当に書き出し速度が上がった(約15%改善)
H265に関してはほとんど誤差だったものの若干の改善が見られた。
まとめ
ここまでAMD RYZEN 5 8600Gの検証を行ってきた。
8600Gをおすすめできる層としては下記に再度まとめると、
- ライトゲーミング層(フルHD60fps)
- グラボなしでエアフロー的にすっきりしたPCを組みたい
- 低消費電力パソコンが欲しい
- 動画編集もしたい
実際原神は定格状態でも十分快適にプレイでき、動画編集に関しても物理で6コアあるためIntelCPUでいうところ、Core i3<RYZEN 5 8600G<Core i5といったところだろう。
したがって、高いCPU性能と、比較的快適にプレイ可能なグラフィック性能を兼ね備えつつ、簡易オーバークロックで化けるとなると自作er的には面白いCPUだといえる。