ゲームインストール用に大容量で高速なSSDが欲しいんだけど
おすすめない?
(ZACK IT編集)
キオクシアやCrucialとかWD色々あるけど、今回はあえてマイナーなところから紹介するよ。
価格.comで見ても高速SSDの中では安価だし気になっている人もいるのかな。
Lexarブランド概要
Lexarはどこの会社?
正直キオクシアやMicron、Samsungといった名だたる半導体メーカーが闊歩しているSSD市場であえてLexarを選ぶとしたらまずどんな会社かを知る必要があるだろう。
調べてみたところ本社はアメリカのサンノゼ(San Jose)にあり、レキサーブランドを現在保有しているのは中国のLongsysという企業で、SSDのほか、フラッシュメモリー製品全般を展開しているブランドのようだ。
というのもすこし昔をたどると、Lexarは元々Micronが保有していたメモリーブランドで、2017年に売却され取得した企業がこのLongsysという中国の企業というのが経緯となる。
本社と製造拠点や母体が異なるのはよくある話だが筆者は2022に生まれた「Solidigm」というブランドが真っ先に思い付いた。
Solidigmも元々はIntelのSSD部門が韓国のSK hynixに売却されて新たに生まれた新ブランドだが、本社機能自体は米国だ。もっともLexarはブランド名そのものが移管され、Solidigmはリブランドの為少し状況は異なる。
話が若干脱線したが、「どこの会社?」と聞かれれば本社のある米国だが、実際のところは現在では中国資本のブランドといって差支えがないだろう。
NM790シリーズ概要
まずは容量別のカタログスペック値についてみていくが、今回用意したのは2TB。
NM790はGen3から一つ新しくなったPCIe Gen4インターフェースを採用している。Gen5 SSDも既に一部メーカーから出ているものの、対応マザーボードやそもそもの価格などからあまり普及していないため実質このGen4 SSDがまだ実質的な普及モデルとして2~3年現役だろう。
4TB | 2TB | 1TB | 512GB | |
フォームファクタ | M.2 2280 | M.2 2280 | M.2 2280 | M.2 2280 |
インターフェース | PCIe Gen4 | PCIe Gen4 | PCIe Gen4 | PCIe Gen4 |
読込速度 | 7400MB/s | 7400MB/s | 7400MB/s | 7200MB/s |
書込速度 | 6500MB/s | 6500MB/s | 6500MB/s | 4400MB/s |
TBW | 3000TBW | 1500TBW | 1000TBW | 500TBW |
MTBF | 150万時間 | 150万時間 | 150万時間 | 150万時間 |
今回は2TBを検証用として用意した。
読込速度が7000MB/sを超えており、SSDをエントリー/パフォーマンス/ハイエンドと分けるのであればハイエンドモデルとしてセグメンテーションされるだろう。今回は紹介しないが、上記のモデルにヒートシンクを追加したバージョンも存在し、国内展開されているため、PS5(Playstation 5)にも導入が最適なモデルだ。(気になった人はNM790 with Heatsinkで検索してほしい)
書込速度に関しては512GBを除き6000MB/s以上の速度で、申し分ないスペック。
あくまでカタログスペックかつ、シーケンシャルの速度であるため実使用でどの程度快適化は要検証。
また、SSDの耐久性として見ることの多いMTBF(平均故障間隔)は150万時間と一般的なNVMe SSDとそん色ない。
TBWはスペック上の書き込み上限が何TBかを表す指標。最大は4TBの3000TBWだ。もはやコンシューマ向けでここまで書き込む猛者は現れるのかはなはだ疑問であるし、それを検証する気力は筆者にはないのでご了承願いたい。
ちなみに、NM790のようなコンシューマー向けSSDではほとんど見ることはないが、サーバー向けだと耐久性の指標として、DWPD(Drive Write Per Day=”1日当たりのドライブ書き換え回数”)という指標が用いられることがある。
簡単に説明すると、保証期間内でTBWのスペックを基に毎日SSD全容量を何回書き換え可能か?を測る指標である。計算式は、
(TBW×1000)/(容量[GB]×5×365)
NM790 4TBの場合:(3000×1000)/(4000×5×保証期間×365)
以上の計算を容量の一番大きい4TBモデルで行うと、約0.41(DWPD)。
サーバーなどのエンタープライズ向けSSDであればエントリークラスでも1DWPDを超えてくる(つまり1日1回以上の全容量書き換えを想定して製造されているということ)ので、ぱっと見NM790のTBWは高い印象だがあくまでそれは容量が大きいからしたがってTBWもでかいというだけの話だ。
NM790はこんなひとにおすすめ
- ゲーミング
- 動画編集
- 写真編集
ビジネスPCや非ゲーミングPCにはオーバースペックな製品だ。
価格.comでの評判
価格.comでは現在人気ランキング入りするほど注目度の高い製品ではないが、読込速度7000MB/s&書込速度6000MB/s以上でフィルタをかけ価格の安い順でソートすると上位に表示される。(2TBモデル)
そして価格コムの仕組みがよくわかっていないのだが、Lexar NM790の2TBが最安値16980円と表示されている一方で、Amazonで2TBの型番である”LNM790X002T-RNNNG”で検索をかけると、最安値15980円(2024/3/24時点)で販売されているようだ。ブラウザのキャッシュの影響かもしれないが、必ずしも価格コムで表示されている最安価格がリアルタイムで本当に最安かどうかは要確認だ。
同社NM710との違いは?
もう一つ気になるところとしては、同社の他のシリーズにNM710というモデルが確認でき、Amazonでも購入が可能だ。
NM710と当記事で紹介しているNM790について、2TBモデルでの比較表を下記にまとめてみた。
シリーズ | NM710 | NM790 |
容量 | 2TB | 2TB |
フォームファクタ | M.2 2280 | M.2 2280 |
インターフェース | PCIe Gen4 | PCIe Gen4 |
読込速度 | 5000MB/s | 7400MB/s |
書込速度 | 4500MB/s | 6500MB/s |
TBW | 1200TBW | 1500TBW |
MTBF | 150万時間 | 150万時間 |
保証期間 | 5年間 | 5年間 |
価格(2024/6/1時点) | Amazon | Amazon |
ナンバリング通りにNM790の方が上位機種のようだ。読込/書込、そしてTBW全てにおいてNM790が上位互換となり、速度・耐久性において優れる。
ハイエンドPCへの搭載はNM790、エントリー~ミドルクラスPCへの搭載はNM710と使い分けを検討しよう。
実際にNM790 2TBを検証してみた
レビュー機材の主な構成
連日の公開される記事でおなじみの構成だが、今回のNM790 2TBのレビューをもって一旦このレビュー機材の出番はいったん終了だ。今後はプライベートのメインPCとして活躍してもらう予定となる。
パーツ | 型番・品名 | 備考 | 価格 |
ケース | CX200M RGB ELITE WHITE | 白ケース | Amazon |
CPU | AMD Ryzen 5 8600G BOX | Amazon | |
クーラー | AK400 DIGITAL WH | 白クーラー | Amazon |
M/B | B650M AORUS ELITE AX ICE | 白マザー | Amazon |
メモリ | CMH32GX5M2E6000C36W | 白メモリ | Amazon |
SSD | Lexar NM790 2TB | Amazon | |
電源 | SST-DA750R-GMA-WWW | 白電源 | Amazon |
各種ベンチマーク
CrystalDiskMark
2TBにOSをインストールしたCドライブとして検証している。
シーケンシャルに関しては、むしろカタログスペック値よりも速度が出ている結果となった。
ランダムリード/ライトに関しては、価格.comに掲載されているレビューにあるようなベンチマークより若干遅い気がするのだが、これはRYZEN環境が影響しているのだろうか?
後日IntelのGen4 M.2 NVMe環境を揃えたら再度レビューを実施できればと考えているので是非当サイトのブックマークとX/Twitterをフォローしてお待ちいただきたい。
10Gbps対応のUSB外付ケース(ヒートシンク+サーマルパッド)に接続し再度計測。
当然のことながらマザー直差しと比べて遅くなるものの、SATA SSDより速度は全体的に出ている。
AS SSD Benchmark
こちらも同じくSSDの読込/書込手素を行うベンチマークソフト。
CrystalDiskMarkとは違い、実用面を想定したコピーテストや、圧縮時のパフォーマンスをグラフ化で確認することができるベンチマークを実行できる。
圧縮は読込は比較的安定しているものの、書き込み時は一瞬落ち込む瞬間を計測し、何度かトライしたが傾向は変わらなかった。
動作温度を検証してみた
CrystalDiskMarkで負荷をかけているタイミングで計測したNM790の温度。
HWMonitor読みだと、Max60度で50度台をうろうろしている状態だった。
ちなみに検証機材のリストは上記に記しているが、GIGABYTEマザーのM.2スロット1はヒートシンクがついている。
経験上NVMe SSDは70度を超えなければそこまで危険水域とは言えない印象。したがってマザーボード標準ヒートシンクの恩恵にあずかっているとはいえ高負荷のベンチマークソフトを回している状況でおおむね50度台であれば熱が問題で動作のボトルネックになることはないだろう。
所感
他にも各種ゲーム系のベンチマークや実際のプレイ(FF14/15、原神、ストリートファイター、モンハンライズ等々)と、動画編集系ソフトのDavinciResolveを検証したが特別SSD起因と思われる引っかかりや速度低下などは見られなかった。(各種ベンチマークは下記記事参照)
まとめ
Lexarは中国資本のSSDブランドで、比較的性能帯に対してコストパフォーマンス重視の価格戦略で販売しているような印象だ。
耐久性的な部分では1-2日検証したのみではなかなか評価しづらいが、速度も申し分なく発熱も特別高いわけではないので、Amazonのタイムセール時などを狙って購入してみるのもいいかもしれない。