最近新製品ではないんだけど、Crucialが販売しているMicron製SSDで「P3 Plus」
ってあるじゃん?どうやら発売当初はQLCだったらしいんだけど今はTLCなんじゃないかって
一部で報告上がってた。実際はどう?
(ZACK IT編集)
筆者は2024年6月27日に、ドスパラの秋葉原にある実店舗で検証用に
購入したけどTLC NANDだったよ。まあ動作検証とかやって買いかどうか解説してみよう。
Crucial P3 Plus 製品概要
Crucial P3 Plusは、時期を同じくして発売してP3シリーズと並ぶMicron 176層NANDを採用したSSD製品である。Crucialブランドは主にコンシューマー(一般消費者)向けのブランドであり、主なターゲットはクライアントPC(ビジネス/ゲーミング/クリエイティブ)といったところだ。
Crucial P3/P3 Plusのスペック/立ち位置
P3シリーズとP3 Plusシリーズの違いは下記にまとめる。(今更過ぎてご存じの方も多いと思うが)
項目 | Crucial P3 | Crucial P3 Plus |
インターフェース | PCIe 3.0 x4 | PCIe 4.0 x4 |
コントローラー | Phison製 | Phison製 |
NANDタイプ | 176L 3D NAND | 176L 3D NAND |
シーケンシャル読み取り速度 | 最大3,500 MB/s | 最大5,000 MB/s |
シーケンシャル書き込み速度 | 最大3,000 MB/s | 最大4,200 MB/s |
キャッシュ | DRAMレス | DRAMレス |
容量オプション | 500GB, 1TB, 2TB, 4TB | 500GB, 1TB, 2TB, 4TB |
耐久性 (TBW) | 最大800TB (4TBモデル) | 最大800TB (4TBモデル) |
MTTF | 150万時間 | 150万時間 |
1TBモデルの価格 | 約1万円前後 | 約1万円前後 |
Crucialブランドを展開するマイクロンメモリジャパンはこのシリーズをそれぞれHDDからのアップグレード、P3 PlusはGen3からの手頃価格でGen 4へのアップグレードを謳っている。
実勢売価に差がほぼないことから、P3を買うメリットは現状残念ながら皆無。Gen4であるP3 Plusの購入検討がおすすめ。
ターゲットユーザー
項目 | Crucial P3 | Crucial P3 Plus |
想定ユーザー | 自作PC/カジュアルゲーマー/プロフェッショナル/エントリーレベルのデザイナー | プロフェッショナル/高性能PCユーザー/クリエイティブ etc. |
当製品はハイエンドクラスではないためエンスージアスト向けではないものの、日常使いやカジュアルなゲーミング用途としては必要十分。そのため、コスパに優れたシリーズである。
で、実際QLCとTLCどっちなん?
これはあくまで筆者が入手した時期が2024年6月27日であったことを断ったうえでいうと、当製品(P3 Plus)は232L TLC NANDを搭載した個体であった。
上記のFlash idで確認した内容を見ると、Micron 232層のTLC NANDを使用していることがわかる。また、コントローラーについてはPhison製のPS5021-E21のようだ。
型番変更していないのにQLCとTLCを混在させるのは問題という声があるが?
当製品は発売当初(2022年)の大手Webメディアなどでピックアップされていた記事を目を通す限り元々はQLC NANDチップであったことは間違いないようだ。
そのことについて問題視しているユーザーもごく一部いるようで界隈で少々取り沙汰されることとなり、今回検証用に購入したものの未開封であった当製品を急いで検証を進めた次第だ。
まず結論から言うと、Micronが今回P3 Plusの型番変更やシリーズ変更等行わずにサイレントでNANDチップを変更した件についていうと「問題はない」と考えている。問題がない理由を下にまとめておく。
https://www.crucial.jp/content/dam/crucial/ssd-products/p3-plus/flyers/b2c/crucial-p3plus-productflyer-consumer_jaJP.pdf当製品がTLCかQLCかについての記述はメーカーのスペックシートには記述がない
これはメーカーや代理店の製品ページやスペックシートを確認すれば、そもそもTLCやQLCといった記載はされていない。ユーザーが保証を捨ててラベルシートをはがした場合か、Flash idで中身を確認しない限り採用されているNANDチップは不明のはず。
確かにQLCはキャッシュが切れた後の速度についてTLCより劣っているのは特徴として事実だが非現実的な数百GBのデータ移動をテスト条件として低速化したとして、実使用にどの程度影響を及ぼすかは疑問が残る。この製品はあくまでクライアントPC向けを想定したSSD製品だ。
DWPD(Drive Write Per Day)という指標をご存じだろうか?主にデータセンター向けストレージで用いられており、これを簡単に説明すると、製品のTBW(耐久性)と保証期間(日数)で計算した際に1日に何度ドライブ全容量を書き換えられるかという指標だ。
この指標で考えるとクライアントPC向けSSDはそもそも0.5DWPD未満である製品がほとんど。つまり、1TBのSSDであれば半分の500GB以上を1日のうちで書き換えればそもそも保証期間前にメーカーが想定する作業負荷を超える可能性がある。
そのため、一度に数百GBのデータを移動することをベンチマークとしてSSDの性能を測る手法はそもそもクライアントPC向けSSDには向かない(想定されてない)ので、それでキャッシュ切れして遅いか早いかといっても仕方がない印象はぬぐえない。
スペックシートの免責事項には「予告なしに仕様変更」の可能性について記載あり
確かに、176層とはスペックに表記があるものの、Micronは将来的にNANDシリーズの移行について変更を示唆した一文が免責事項には記載されている。
もちろんこの一文に関して他のメーカーについても基本的に製品詳細には「予告なしの仕様変更」について記載があるのが定石だ。Micron製品 に限った話ではない。
発売当初に購入したユーザーはそもそも176層NANDであることに納得して買っているはず
そもそも、ユーザー目線に立って考えたとしてもQLCが搭載されていた当時に購入したユーザーはその仕様について納得した上でメイン用途というよりもサブ用途で購入していたはずだ。
また、今回少々話題となっているようにTLCチップが載った製品が購入できるかもしれないいわば「ガチャ」状態なことについてももともと176層のチップが搭載されていることはスペックシートに載っているため、購入したものに232層のチップが載っていたとすればユーザーは得(?)しかしないと考えるほかない。
「あたり」を引けないと損した気分になる気持ちは筆者にも理解はできるが。
もちろん、Micronほどの巨大メーカーが在庫調整をせずに仕様の若干異なる製品をマーケットに流すとも考えられず、大方旧ロットが販売店から姿を消してから新ロットを展開しているのではないかと邪推はしている。そのため、いうほど「ガチャ」の状態にはならないのではないかと考えているが保証はできないのでご了承いただきたい。