実際に検証してみる
ここでは、「EXCERIA PLUS G4」の実際の性能を様々な角度から検証していく。ベンチマークソフトによる速度測定だけでなく、実際のゲームプレイやファイルコピーといった日常的な使用を想定したテストを行うことで、カタログスペックだけでは見えてこない実力を明らかにする。
検証環境は下記の通り。GIGABYTE B650M AORUS ELITE AX ICEはM.2スロット2つのうち1スロット目がPCI Express Gen5対応。
パーツ | 構成 |
---|---|
OS | Windows 11 Home 24H2 |
CPU | Ryzen 7 9700X 8コア16スレッド |
GPU | PowerColor Hellhound Radeon RX 9070 16GB (PCIE Gen4x16) |
M/B | GIGABYTE B650M AORUS ELITE AX ICE |
メモリ | 32GB DDR5 6000MHz |
SSD1 | KIOXIA EXCERIA PLUS G4 2TB(Gen 5) |
SSD2 | Samsung 990 Evo 1TB(Gen 4) |
電源 | 80 PLUS GOLD 750W |
CrystalDiskMark 8.0.5
まずは、定番のベンチマークソフト「CrystalDiskMark 8.0.5」を用いて、「EXCERIA PLUS G4」の基本的な読み書き速度を測定する。このソフトは、シーケンシャル読込/書込速度に加え、ランダム読込/書込速度など、SSDの基本性能を測ることができる。基本的にその製品のカタログスペック値に乖離が無いかを見るのに有用。メーカーの公称値もCrystalDiskMarkを使用しているようだが細かい設定値には違いがある点もあるのであくまで参考程度であれど、カタログスペックの数値よりも気持ち速度が高め。

上記の結果から、「EXCERIA PLUS G4」は非常に高いシーケンシャル読込/書込性能を発揮していることがわかる。シーケンシャル読込速度(Q8T1)に至っては10,000MB/sを優に超える速度となっており、SSDも単体でついに10GB/秒の時代かとしみじみ感じるものがある。
実用レベルを図るのに重要なランダムアクセスの書き込みについても一般的なGen 4 SSDよりも速度が出ていることがわかる。ランダムアクセス速度は、OSの起動やアプリケーションのレスポンス向上に大きく貢献することが期待できる。
以下に今回比較対象で用意したGen 4 SSDとの比較グラフを用意。ただし比較対象は1TBモデルのため、あくまでこれも参考値としてみていただければと思う。

ゲーム(FF14/モンハンワイルズ)
次に、実際のゲームプレイにおけるロード時間の短縮効果を検証する。人気オンラインゲーム「FINAL FANTASY XIV (以下FF14)ベンチマーク」と、2025年最も熱い注目作「モンスターハンターワイルズ(以下モンハンワイルズ)製品版」を例に、ゲームの起動時間、ロード時間などを比較する。
まずはFF14ベンチマークから。データのブレを少なくするため、こちらはベンチマークを3回実行した平均値をとる。FF14ベンチマークでは、ベンチマーク実行中に発生するロードが5回あり、それらを合計した秒数が1回のベンチマークでロード時間として表示される。

結果としてはEXCERIA PLUS G4が約15%ロード時間が優れる結果に。CrystalDiskMarkのようなカタログスペック上でのスピードだけではなく、きちんと実際のゲーム用途でも速度がGen 4と比較して改善できていることがわかる。
一方モンハンワイルズ製品版での起動時間の計測。こちらはFF14ベンチマークのようにSSD性能を図るようなロード時間の計測機能が備わっていないため、実際の製品版を用意し、Steam上の起動ボタンを押してから「Game Play」を選択するまでの時間をこちらも3回計測した合計値で比較する。OSを起動してから初めて起動する場合はシェーダーキャッシュの読み込みも発生するため若干時間がかかる。2回目/3回目はOSが起動中の間は保持されるため起動が双方非常に速い。なお、PC構成を変更した場合、シェーダーキャッシュの作成が入るためさらに時間がかかる。以下が結果をグラフにまとめたものになる。

モンハンワイルズではDirectstrage機能が実装されており、NVMe SSDの恩恵は高い。これによりGen 4 SSDでもかなり早いためGen 5である「EXCERIA PLUS G4」に置き換えたとしても体感できるほどのパフォーマンス向上は見込めないかもしれないが、「EXCERIA PLUS G4」のほうが約3%起動時間を短縮することができている。
実際の書き込みを想定した検証
ベンチマークソフトだけでなく、よりリアルな使用状況を想定したテストも行う。具体的には、大容量の動画ファイルやRAW形式の写真データなど、サイズの大きなファイルを実際にSSDへ書き込む時間を計測する。下記のファイル形式を合わせた混合フォルダを用意し、それを実際に4回対象のSSDへ書き込んでいく。
500GB以上のさらにたくさんのデータを使って書き込みテストを行うことも可能だが、書き込み耐性の1200TBWを5年の保証期間で1日当たりにならすと650GB程度。現実的な利用ケースを想定しここまでの検証とする。

これにより、クリエイティブな作業を行うユーザーにとって、「EXCERIA PLUS G4」がどの程度のパフォーマンスを発揮するのかを評価する。連続した複数のファイル形式を含むデータ書き込みを実施した場合の速度変化も確認することで、搭載しているコントローラーが持続的にパフォーマンスをどこまで維持できるかも測ることができ、様々なユーザーシナリオにおけるリアルな性能を明らかにする。

この実用を想定した大容量ファイルの書き込みテストでは、順当に「EXCERIA PLUS G4」の優れたパフォーマンスが発揮される結果に。4回目の約80%完了前後にデータ書き込みの速度が1GB/s前後まで低下した。とはいえGen 4 SSDと比較するまでもなく非常に高いパフォーマンスを発揮しており、合計500GB前後のデータを移動するのにかかった時間は比較対象のGen 4 SSDと比較して約2.8倍高速化を実現している。約129GBの書き込み1回目の速度のみで比較しても、約1.6倍高速でデータの転送を完了することができた。
動作中の温度
Gen 5 SSDの購入に踏み切れないユーザーの中には発熱が気になる人もいるだろう。そこで、「EXCERIA PLUS G4」の動作中の温度を測定し、その冷却性能についても検証する。アイドル時から高負荷なベンチマークテストの実行中でSSDの温度がどのように変化するのかを「HWmonitor」のログを用いてチェックしていく。なお、検証のためPCケーズに入れずに検証台での温度計測となる。M.2 SSDスロット周辺に12cm(回転数:1100rpm~1200rpm)を用意した場合としていない場合で計測。

追加ファン無しの状態で検証の結果、「EXCERIA PLUS G4」は高負荷な処理を行った場合で、約78度という結果に。スペック上の動作温度最大が85度に設定されているため、大型の別売りSSDヒートシンクを搭載せずとも、動作温度範囲内に収まって動作している印象だが、そうはいってもやはりGen 4 SSDよりはかなり温度高め。次に、12cmファンをM.2 SSDスロット付近に固定した状態で再度CrystalDiskMark実行時の温度を計測し、追加ファン無しの同製品と比較していく。

追加ファンを用意した結果としてはベンチマーク実行時でも驚異の低発熱で最大でも40度台後半で推移した。これほどの低発熱なGen 5 SSDであれば実用面でも非常に扱いやすく、M.2専用の大型ヒートシンク不要で、PCケースのボトムに12cm搭載可能なケースであれば同様の温度レベルで「EXCERIA PLUS G4」を運用可能だろう。

まとめ
今回の検証を通じて、「EXCERIA PLUS G4」は、カタログスペックのみではなく、概ね実用レベルでも性能を発揮できるGen 5の性能を持つSSDとしては比較的扱いやすいSSDであることがわかった。いかにメリット・デメリットをまとめた。
読込/書込速度の向上は、OSの起動やアプリケーションのロード時間を短縮し、ゲームプレイにおいても快適な環境を提供する。一方で、一般的なGen 4 SSDと大きく体感差が生まれない場合も検証で判明したため、用途やこだわりに応じて選ぶといいだろう。「SSDは少しでも速いほうがいいのはもちろんだけど、発熱や扱いやすさも重要」と考えているユーザーにとって、高いパフォーマンスと低発熱を兼ね備える「EXCERIA PLUS G4」はまさに最適な選択肢の一つと言える。