
DDR5メモリ高すぎて買えないんだが…。

(ZACK IT編集)
それ、今後も改善することなく値上がり続く見込みになったから欲しいなら今買っといたほうがいいよ。Micronがコンシューマー向け「Crucial」ブランド撤退だって。
Micronが29年続く「Crucial」ブランドから撤退
AI特需によるDDR5メモリ価格の高騰でSNSのみならず自作PCユーザーの間で話題になる中、突如2025年12月、大手メモリメーカーであるMicron Technology(マイクロン・テクノロジー)は、衝撃的なニュースを発表した。それは、同社のコンシューマー向けブランドである「Crucial(クルーシャル)」の一般消費者向けビジネスから撤退するというものだ。Crucialは約29年間にわたり、自作PCユーザーやPCのアップグレードを考える層にとって、高品質でコストパフォーマンスに優れたメモリやSSDを提供する、定番のメモリーブランドであった。
このブランドは、世界中のユーザーに広く認知され、多くの販売店で主力商品として扱われていたため、今回の撤退は市場に大きな動揺を与えている。特に、手軽にPCの性能を向上させるためのパーツとしてCrucial製品を愛用してきた個人ユーザーにとって、今後の選択肢や市場の動向は極めて重要な関心事であるといえる。

(ZACK IT編集)
言い方変えれば、「客単価の低い個人より大口顧客を優先します!」って公言しているようなものだよね。がっかりした人も中に入るんじゃないかな。原文はMicronのサイトを参考にしてください。
なぜ「Crucial」ブランド終了?
MicronがCrucialブランドのコンシューマービジネスから撤退する最も大きな理由は、不採算事業の事業縮小ではなく、データセンターにおけるAI主導の急速な成長による、「より利益率が高く長期的な収益性の高い成長路線への事業の整合化を行うため」としている。具体的には、爆発的な成長を続けているAIデータセンター市場向けのメモリ(HBMなど)やエンタープライズ向けSSDに注力することが明言されている。

(ZACK IT編集)
言い方変えれば、「客単価の低い個人より大口顧客を優先してがっぽり稼いで株主に還元します!」って公言しているようなものだよね。がっかりした人も中に入るんじゃないかな。ソースは記事に貼ったMicronのサイトを参考にしてください。
個人向けのPCパーツ市場は、価格競争が激しく、利益率が低い傾向にある。一方、AIやクラウドサービスを支えるデータセンター向けのメモリやSSDは、高度な技術と信頼性が求められ、高単価・高利益率が期待できる。Micronは、この市場の需要が今後数年間で大幅に増加すると見込んでおり、この波に乗るため、相対的に優先度の低いコンシューマービジネスを切り離す決断を下したのだ。これは、企業が利益を最大化し、将来の成長を確保するための、大口優遇とも言える明確な戦略的判断である。この動きは、DRAMおよびNAND市場全体における、B2CからB2Bへのシフトを象徴する出来事といえるだろう。
サポートはどうなる?
Crucialブランドのコンシューマービジネス撤退に伴い、既存ユーザーが最も懸念するのは、購入済み製品のサポート体制である。この点について、Micronはユーザーへのサポートは継続することを明確に発表している。
具体的には、現在販売されているCrucialブランドのメモリやSSD製品に対する保証は、製品に付帯する元の保証条件に従って引き続き有効となる。これは、例えば「制限付き永久保証」や「数年保証」が付いている製品であれば、その期間内は修理や交換といったサポートを受けられることを意味する。
しかし、長期的に見れば、ブランドが市場から段階的に姿を消すため、交換や代替品の供給が今後どうなるかについては懸念を持つユーザーも少なくないだろう。ユーザーは、保証期間や続きについて、Micronおよび販売店からの正式な情報を定期的に確認しておく必要がある。既存ユーザーは、保証書や購入時のレシートなどを大切に保管し、万が一の際に備えるべきだといえる。
メモリ・SSD市場の価格は今後どうなる?
MicronのCrucialブランド撤退は、メモリおよびSSD市場の価格に短期と長期の両面で影響を与える可能性がある。短期的な影響としては、Crucial製品の店頭在庫はAmazonを含めほぼ枯渇状態にあり、数少なく残っている部分に関しても価格が高騰しており今年の底値から3倍以上になっているものも多く存在する。つまりは今後供給が増える見込みがなく市場在庫の処分に入っていくことから、DDR5メモリの価格はCrucialの製造終了である2026年2月まで下がることは絶望的だ。さらに長期的な視点で見ると、グローバルでかなりのシェアを持つ巨大メモリーメーカーが撤退することによりパイの奪い合いが激化することも必至。これを回避するには、膨らみに膨らんだAIバブルが弾けて市場を混沌に陥ること以外に可能性はない。
まとめ
Micronによるコンシューマー向け「Crucial」ブランドの撤退は、AIデータセンター市場という巨大な需要への注力を目的とした、きわめて戦略的な意思決定である。これは、利益率の低い個人向け市場から、大口優遇のビジネスへとシフトする業界全体の流れを象徴している。
既存ユーザーに対するサポートは継続されるものの、市場の供給構造が変化するため、メモリやSSDの価格は中長期的に上昇傾向に転じる可能性が高い。PCユーザーは、この市場の転換期において、代替ブランドの選定や、必要なパーツの早期購入を真剣に検討すべきである。「待てば価格が下がる」というデフレ脳的な考えは一切捨てるべきだ。今は既にインフレ時代であることを意識したい。
今後のIT市場は、AI技術の進化とデータセンターの需要拡大によって動かされ、その影響はCrucialという一つのブランドを超えて、私たちのPC環境にまで及ぶことになるだろう。現在我々は生成AIの利便性を享受することが一般化しつつあるものの、一方でこのようにPCの構成に不可欠な部品が一つ、そしてまた一つ入手性が悪化しているのもまた事実。2026年はその狭間で複雑な面持ちになる1年間になりそうだ。



