「Copilot + PC」は今年の5月に発表発売されたけどQualcomm搭載品だけなんだよね。
Intel製CPU搭載機種はいつ出るの?
(ZACK IT編集)
本日インテルがNPUを搭載したAI時代のプロセッサー「Lunar Lake」を正式ローンチしたよ!これでAMDの「Ryzen AI」含め40TOPSを超える「Copilot + PC」の要件を満たすCPUがでそろうかな。
発表されたインテル「Lunar Lake」について
Lunar Lakeは、モバイルデバイス向けに設計された最新の高性能プロセッサーだ。前世代のメテオレイク(Meteor Lake)と比較して最大50%電力効率化が図られたことが最も大きな特徴。インテルは近年、●●Gen(●●世代)という呼称を撤廃。Meteor Lakeの頃よりシリーズ〇〇というネーミングに変更した。したがってLunar Lakeはインテルシリーズ2となり、先代のMeteor Lakeはシリーズ1となる。
そして先代比で大きく向上したPコア/Eコア性能に加え、Arcグラフィックスを搭載しGPU性能もアップ。GPUのクロックは前世代と比べ1.5倍のクロックで動作するとのこと。
さらに注目されるのは、やはりNPUの搭載だろう。これによりAI処理能力が大幅に向上している点である。このNPUは、AIアシスタントや「Copilot + PC」の要件を満たすためには40TOPS以上である必要があるが、Lunar LakeはCPUとGPU/NPUの総合性能は120TOPSを超える。Lunar Lakeは、Intelのチップ設計において新たな章を開くモバイルプロセッサーであり、これからのAI時代をリードする存在となるだろう。
Lunar Lakeの主な特徴・メリット
また、先行している「Copilot + PC」製品であるQualcomm製プロセッサーと比較してx86の優れた互換性を謳うIntel Lunar Lakeは近日中に発売されるLunar Lake搭載「Copilot + PC」で競合製品に優位性を見出す。今後加速度的に「Copilot + PC」が普及していくことが予想されるだろう。
電力効率化
モバイル製品において、電力効率は命にも等しい重要視されるべき性能だ。
Lunar Lakeは前世代と比較して最大50%の電力効率化を果たしたとする。ほかにも、ZoomやYoutubeでの4k30フレームでの再生、ウェブブラウジング等の普段使いシーンで想定される用途においても30%を超える省電力化を強調している。
Pコア/Eコア性能向上
Lunar Lakeは「Lion Cove」と呼ばれるPerformance-Core、通称Pコアを搭載している。このコアは先代と比べて最大14%のIPC性能の改善を果たしている。
「Skymont」と呼ばれるEfficient-Core、通称Eコアに至っては68%に及ぶIPC向上。モバイルPCや搭載されるであるミニPC等の発売が楽しみだ。
新しく統合されるArcグラフィックス
インテルは今回の発表で、Lunar Lakeにモバイル製品で初めて搭載される「Xe2 グラフィックス」を『史上最高性能のモバイルグラフィックス』と評す。これは競合となる今回の発表に先立ち7月に市場投入されたAMD Ryzen AI HX370と張り合う差侠客の統合GPUであることを意味する。成熟までに課題が残っているとの声が少なくなかったデスクトップ向けのArcグラフィックスカードだが、果たしてLunar Lakeはそのあたりのボトルネックも解消してくるだろうか。
Intel Xe2グラフィックスは最大8つのグラフィックスコアを搭載する。
更に、Lunar Lakeはゲーム実行時の消費電力についてもライバルのAMD、またQualcommに大差をつけて勝利。デスクトップ向けだと爆熱Raptor Lakeなイメージがユーザー間でついた印象だがモバイル向けでは汚名返上なるか。
モバイルプロセッサー史上最高のAI性能
2024年はAI、いやNPU元年といっていいだろう。「TOPS」という新しいスペック指標により各社しのぎを削ってきている。「TOPS」とは秒間にAI処理を何兆回実行可能かという指標。Lunar Lakeは後発なだけありさすがの性能をたたき出してきた。「Copilot + PC」の要件は搭載しているNPUが40TOPS以上の為余裕でクリア。
一方でAMD Ryzen AI 9 HX 370はNPU単体で50TOPSを誇るため、NPU単体で見れば後塵を期している。
しかしながら、インテルがLunar Lakeは先述の通りモバイル最強のGPUを搭載しており、これが67TOPS。NPUとCPUのAI処理性能を総合したTOPS性能は120を超えるとする。
更に最も先行して「Copilot + PC」搭載機を発売しているQualcommプロセッサーについての比較テストでは競合が互換性によりテスト実行不可であったケースがゲームだと23タイトルに上るとした。このあたりはx86機として妥当なアピールポイントだろう。
1080pのゲーミングにおいてはもはやグラボが不要な世界が近いのだろうか。近い将来ノートPCやミニPCの内臓GPUで十分なカジュアルゲーマーのシェアが上がるのかもしれない。
Lunar Lakeのスペック&リスト
今回発表されたLunar Lake製品はCore Ultra 9から5までであり、全て8コア(P:4+E:4)で、ハイパースレッディングは廃止となった。またプロセッサー型番にもGPU型番にも末尾がVの記載となる。これまではUやHであったため変更点となる。
【Core Ultra 9及び7(ハイエンド及びパフォーマンス)】
型番 | Core Ultra 9 288V | Core Ultra 7 268V | Core Ultra 7 266V | Core Ultra 7 258V | Core Ultra 7 256V |
コア数 (P+E) | 8 (4+4) | 8 (4+4) | 8 (4+4) | 8 (4+4) | 8 (4+4) |
スレッド数 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 |
キャッシュ | 12MB | 12MB | 12MB | 12MB | 12MB |
P-core 最大周波数 | 5.10GHz | 5.0GHz | 5.0GHz | 4.80GHz | 4.80GHz |
E-core 最大周波数 | 3.70GHz | 3.70GHz | 3.70GHz | 3.70GHz | 3.70GHz |
内蔵GPU | Arc 140V | Arc 140V | Arc 140V | Arc 140V | Arc 140V |
GPU 最大周波数 | 2.05GHz | 2.0GHz | 2.0GHz | 1.95GHz | 1.95GHz |
最大メモリー速度 | LPDDR5/x-8533MT/s | LPDDR5/x-8533MT/s | LPDDR5/x-8533MT/s | LPDDR5/x-8533MT/s | LPDDR5/x-8533MT/s |
PBP (ベース電力) | 30W (最小値17W) | 30W (最小値17W) | 30W (最小値17W) | 30W (最小値17W) | 30W (最小値17W) |
MTP (最大電力) | 37W | 37W | 37W | 37W | 37W |
【Core Ultra 5(ミドルクラス)】
型番 | Core Ultra 5 238V | Core Ultra 5 236V | Core Ultra 5 228V | Core Ultra 5 226V |
コア数 (P+E) | 8 (4+4) | 8 (4+4) | 8 (4+4) | 8 (4+4) |
スレッド数 | 8 | 8 | 8 | 8 |
キャッシュ | 8MB | 8MB | 8MB | 8MB |
P-core 最大周波数 | 4.70GHz | 4.70GHz | 4.50GHz | 4.50GHz |
E-core 最大周波数 | 3.50GHz | 3.50GHz | 3.50GHz | 3.50GHz |
内蔵GPU | Arc 130V | Arc 130V | Arc 130V | Arc 130V |
GPU最大周波数 | 1.85GHz | 1.85GHz | 1.85GHz | 1.85GHz |
最大メモリー速度 | LPDDR5/x-8533MT/s | LPDDR5/x-8533MT/s | LPDDR5/x-8533MT/s | LPDDR5/x-8533MT/s |
PBP(ベース電力) | 17W (最小値8W) | 17W (最小値8W) | 17W (最小値8W) | 17W (最小値8W) |
MTP(最大電力) | 37W | 37W | 37W | 37W |
Copilot + PCへの対応状況
現在、Copilot + PCはQualcomm製プロセッサーでのみ発売されている。しかし、Microsoftは今回のIntelイベントに登壇し、新たにx86アーキテクチャへの対応を正式に発表した。
IntelのLunar Lakeもこの要件を満たすことが確認されており、早ければ今年の11月初頭からWindowsの無料アップデートにてIntel Core Ultra 200VシリーズでCopilot + PCとして利用可能となる。
また、Lunar Lake搭載のモバイル製品の中には日本国内でBTOブランドを展開するマウスコンピューターやUnitcom(パソコン工房を展開するブランド)、サードウェーブ(ドスパラを展開するブランド)が上がっており期待が広がる。
Lunar Lake搭載製品はいつ発売?
インテルは発表当日である2024/9/4を予約開始日とし、9月24日から入手可能であることを正式に発表済みである。日本国内のインテル搭載モバイルPCを販売する各社がどのような状況であるかは適宜別記事でアップデート予定。
まとめ
インテルが新たに発表したLunar Lakeは、NPUを搭載し、AI時代を見据えた最新のモバイル向けプロセッサーである。モバイル市場最高性能の内臓GPUにも期待が寄せられる。これにより、IntelもAMDやQualcommと肩を並べる存在となり、Copilot + PCの対応も確定となりPC市場は2024年後半盛り上がりを見せることだろう。