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インテルモバイル向けNPU搭載CPU「Lunar Lake」正式発表!性能や「Copilot + PC」への対応状況は?

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「Copilot + PC」は今年の5月に発表発売されたけどQualcomm搭載品だけなんだよね。

Intel製CPU搭載機種はいつ出るの?

Kotack<br>(ZACK IT編集)
Kotack
(ZACK IT編集)

本日インテルがNPUを搭載したAI時代のプロセッサー「Lunar Lake」を正式ローンチしたよ!これでAMDの「Ryzen AI」含め40TOPSを超える「Copilot + PC」の要件を満たすCPUがでそろうかな。

本記事では日本時間の2024年9月4日未明にintelから正式に発表された「Lunar Lake」について解説。超高性能なNPUを搭載したAI時代をけん引する最新CPUとなるか。

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発表されたインテル「Lunar Lake」について

インテルLunar Lakeキービジュアル

Lunar Lakeは、モバイルデバイス向けに設計された最新の高性能プロセッサーだ。前世代のメテオレイク(Meteor Lake)と比較して最大50%電力効率化が図られたことが最も大きな特徴。インテルは近年、●●Gen(●●世代)という呼称を撤廃。Meteor Lakeの頃よりシリーズ〇〇というネーミングに変更した。したがってLunar Lakeはインテルシリーズ2となり、先代のMeteor Lakeはシリーズ1となる。

Intel Lunar lakeの製品ページ
Intelの製品ページから抜粋。世代の呼称が変更のため慣れるまでは違和感がぬぐえないが「Core i」から「Core Ultra」となったことによる。

そして先代比で大きく向上したPコア/Eコア性能に加え、Arcグラフィックスを搭載しGPU性能もアップ。GPUのクロックは前世代と比べ1.5倍のクロックで動作するとのこと。

Lunar lake プロセッサーの実物チップを持つインテル登壇者

さらに注目されるのは、やはりNPUの搭載だろう。これによりAI処理能力が大幅に向上している点である。このNPUは、AIアシスタントや「Copilot + PC」の要件を満たすためには40TOPS以上である必要があるが、Lunar LakeはCPUとGPU/NPUの総合性能は120TOPSを超える。Lunar Lakeは、Intelのチップ設計において新たな章を開くモバイルプロセッサーであり、これからのAI時代をリードする存在となるだろう。

Lunar Lakeの主な特徴・メリット

Lunar Lakeの主なメリット

  • 前世代と比較して最大50%の電力効率化
  • PコアはIPC性能が最大14%の向上、Eコアは最大50%改善
  • 新しく統合されるArcグラフィックスは先代より1.5倍の動作クロック
  • モバイルプロセッサー史上最高性能の最大120TOPSにのぼるAIパフォーマンス

また、先行している「Copilot + PC」製品であるQualcomm製プロセッサーと比較してx86の優れた互換性を謳うIntel Lunar Lakeは近日中に発売されるLunar Lake搭載「Copilot + PC」で競合製品に優位性を見出す。今後加速度的に「Copilot + PC」が普及していくことが予想されるだろう。

x86とArmプロセッサーの互換性について違いを説明するスライド

電力効率化

Lunar lakeの電力効率性を示すスライド

モバイル製品において、電力効率は命にも等しい重要視されるべき性能だ。

Lunar Lakeは前世代と比較して最大50%の電力効率化を果たしたとする。ほかにも、ZoomやYoutubeでの4k30フレームでの再生、ウェブブラウジング等の普段使いシーンで想定される用途においても30%を超える省電力化を強調している。

Pコア/Eコア性能向上

Lunar lakeのPコアを説明するスライド

Lunar Lakeは「Lion Cove」と呼ばれるPerformance-Core、通称Pコアを搭載している。このコアは先代と比べて最大14%のIPC性能の改善を果たしている。

Lunar lakeのEコアを説明するスライド

「Skymont」と呼ばれるEfficient-Core、通称Eコアに至っては68%に及ぶIPC向上。モバイルPCや搭載されるであるミニPC等の発売が楽しみだ。

新しく統合されるArcグラフィックス

Intel Xe2グラフィックスの強みを説明するスライド

インテルは今回の発表で、Lunar Lakeにモバイル製品で初めて搭載される「Xe2 グラフィックス」を『史上最高性能のモバイルグラフィックス』と評す。これは競合となる今回の発表に先立ち7月に市場投入されたAMD Ryzen AI HX370と張り合う差侠客の統合GPUであることを意味する。成熟までに課題が残っているとの声が少なくなかったデスクトップ向けのArcグラフィックスカードだが、果たしてLunar Lakeはそのあたりのボトルネックも解消してくるだろうか。

Intel Xe2グラフィックスは最大8つのグラフィックスコアを搭載する。

モバイル史上最高性能を謳うスライド
Xe2グラフィックスと競合モデルのグラフィックス性能比較表
Ryzen AI HX370と比較し平均16%の性能向上。Lunar Lakeが優れるタイトルの中には「Apex Legends」など有名タイトルも含まれる

更に、Lunar Lakeはゲーム実行時の消費電力についてもライバルのAMD、またQualcommに大差をつけて勝利。デスクトップ向けだと爆熱Raptor Lakeなイメージがユーザー間でついた印象だがモバイル向けでは汚名返上なるか。

ゲームプレイ中の電力が競合比で低いことを示すスライド

モバイルプロセッサー史上最高のAI性能

2024年はAI、いやNPU元年といっていいだろう。「TOPS」という新しいスペック指標により各社しのぎを削ってきている。「TOPS」とは秒間にAI処理を何兆回実行可能かという指標。Lunar Lakeは後発なだけありさすがの性能をたたき出してきた。「Copilot + PC」の要件は搭載しているNPUが40TOPS以上の為余裕でクリア。

一方でAMD Ryzen AI 9 HX 370はNPU単体で50TOPSを誇るため、NPU単体で見れば後塵を期している。

AI性能をTOPSで説明するスライド

しかしながら、インテルがLunar Lakeは先述の通りモバイル最強のGPUを搭載しており、これが67TOPS。NPUとCPUのAI処理性能を総合したTOPS性能は120を超えるとする。

GPUのTOPS性能もモバイルで優れていると説明するスライド

更に最も先行して「Copilot + PC」搭載機を発売しているQualcommプロセッサーについての比較テストでは競合が互換性によりテスト実行不可であったケースがゲームだと23タイトルに上るとした。このあたりはx86機として妥当なアピールポイントだろう。

1080pのゲーミングにおいてはもはやグラボが不要な世界が近いのだろうか。近い将来ノートPCやミニPCの内臓GPUで十分なカジュアルゲーマーのシェアが上がるのかもしれない。

Lunar Lakeのスペック&リスト

今回発表されたLunar Lake製品はCore Ultra 9から5までであり、全て8コア(P:4+E:4)で、ハイパースレッディングは廃止となった。またプロセッサー型番にもGPU型番にも末尾がVの記載となる。これまではUやHであったため変更点となる。

Core Ultra 9及び7(ハイエンド及びパフォーマンス)

型番Core Ultra 9 288VCore Ultra 7 268VCore Ultra 7 266VCore Ultra 7 258VCore Ultra 7 256V
コア数
(P+E)
8 (4+4)8 (4+4)8 (4+4)8 (4+4)8 (4+4)
スレッド数88888
キャッシュ12MB12MB12MB12MB12MB
P-core
最大周波数
5.10GHz5.0GHz5.0GHz4.80GHz4.80GHz
E-core
最大周波数
3.70GHz3.70GHz3.70GHz3.70GHz3.70GHz
内蔵GPUArc 140V Arc 140V Arc 140V Arc 140V Arc 140V
GPU
最大周波数
2.05GHz2.0GHz2.0GHz1.95GHz1.95GHz
最大メモリー速度LPDDR5/x-8533MT/sLPDDR5/x-8533MT/sLPDDR5/x-8533MT/sLPDDR5/x-8533MT/sLPDDR5/x-8533MT/s
PBP
(ベース電力)
30W
(最小値17W)
30W
(最小値17W)
30W
(最小値17W)
30W
(最小値17W)
30W
(最小値17W)
MTP
(最大電力)
37W37W37W37W37W

Core Ultra 5(ミドルクラス)

型番Core Ultra 5 238VCore Ultra 5 236VCore Ultra 5 228VCore Ultra 5 226V
コア数
(P+E)
8 (4+4)8 (4+4)8 (4+4)8 (4+4)
スレッド数8888
キャッシュ8MB8MB8MB8MB
P-core
最大周波数
4.70GHz4.70GHz4.50GHz4.50GHz
E-core
最大周波数
3.50GHz3.50GHz3.50GHz3.50GHz
内蔵GPUArc 130VArc 130VArc 130VArc 130V
GPU最大周波数1.85GHz1.85GHz1.85GHz1.85GHz
最大メモリー速度LPDDR5/x-8533MT/sLPDDR5/x-8533MT/sLPDDR5/x-8533MT/sLPDDR5/x-8533MT/s
PBP(ベース電力)17W
(最小値8W)
17W
(最小値8W)
17W
(最小値8W)
17W
(最小値8W)
MTP(最大電力)37W37W37W37W

Copilot + PCへの対応状況

現在、Copilot + PCはQualcomm製プロセッサーでのみ発売されている。しかし、Microsoftは今回のIntelイベントに登壇し、新たにx86アーキテクチャへの対応を正式に発表した。

IntelのLunar Lakeもこの要件を満たすことが確認されており、早ければ今年の11月初頭からWindowsの無料アップデートにてIntel Core Ultra 200VシリーズでCopilot + PCとして利用可能となる。

Microsoft登壇者がCopilot +PCがIntel Core Ultraでも利用可能になるとアナウンスしている

また、Lunar Lake搭載のモバイル製品の中には日本国内でBTOブランドを展開するマウスコンピューターやUnitcom(パソコン工房を展開するブランド)、サードウェーブ(ドスパラを展開するブランド)が上がっており期待が広がる。

Lunar lake搭載PCが9月24日以降から入手可能になると説明している

Lunar Lake搭載製品はいつ発売?

インテルは発表当日である2024/9/4を予約開始日とし、9月24日から入手可能であることを正式に発表済みである。日本国内のインテル搭載モバイルPCを販売する各社がどのような状況であるかは適宜別記事でアップデート予定。

まとめ

インテルが新たに発表したLunar Lakeは、NPUを搭載し、AI時代を見据えた最新のモバイル向けプロセッサーである。モバイル市場最高性能の内臓GPUにも期待が寄せられる。これにより、IntelもAMDやQualcommと肩を並べる存在となり、Copilot + PCの対応も確定となりPC市場は2024年後半盛り上がりを見せることだろう。

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