
自作er
そろそろ新しいゲーミングPCを自作しようと思ってパーツの価格を見てたんだけど、メモリ高すぎない!? 特にDDR5。ちょっと前までもっと安かった気がするんだけど、これって転売業者?

(ZACK IT編集)
残念だけどこれは店頭価格です…。25年9月頭らい前まではめちゃめちゃ底値だったからタイミング逃したね。
自作PC向けのDDR5メモリの高騰はなぜ?いつまで続く?
結論から述べれば、このDDR5メモリ価格の高騰トレンドは、少なくとも2026年、あるいはそれ以降まで続く可能性が極めて高いと予測される。短期的に数ヶ月で急落し、以前のような「投げ売り価格」に戻るというシナリオは、現在の市場構造を見る限り期待薄である。
自作PCユーザーにとって辛い現実であるが、現在のDDR5メモリの値上がりは一過性のブームではなく、半導体業界全体の構造的な変化に起因しているからだ。特に2023年後半を底値に、DRAMスポット価格(時価)の上昇は、2025年に入ってからも止まる気配を見せていない。さらに、AI需要の爆発的な増加が、我々一般消費者が使用するDDR5メモリの生産能力を圧迫し続けている。メーカー側にとっても、利益率の低い汎用DRAMを大量に作るより、高付加価値な製品にリソースを割くのが合理的であるため、供給量が劇的に増える見込みは薄い。したがって、「もう少し待てば安くなる」という楽観的な期待は、逆に「あの時買っておけばよかった」という後悔に繋がるリスクが高い状況であると言わざるを得ない。
DDR5メモリ値上げの要因は一つではなく、複合的な要素が複雑に絡み合っている。主な要因は「生成AIブームによるHBM需要の拡大」「供給ひっ迫」「円安の影響」の3点に集約される。これらを理解せずして、買い時を見極めることはできない。
まず最大の影響を与えているのが、HBM(High Bandwidth Memory)への生産シフトである。ChatGPTをはじめとする生成AIの普及により、NVIDIAのGPUなどが搭載する広帯域メモリ「HBM」の需要が爆発している。DRAMメーカーにとってHBMはドル箱であるが、HBMは通常のDDR5メモリよりもチップサイズが大きく、生産に手間がかかる。つまり、同じシリコンウェハーを使っても、HBMを作れば作るほど、我々が使う通常のDDR5メモリの生産可能数が減ってしまうのである。これが供給不足を引き起こす最大の根本原因だ。
次に、「供給ひっ迫」も見逃せない。大手PCメーカーの組み込み向けDRAM製品のほか、スマートフォン市場や自動車産業などあらゆる場面でメモリ製品は使用されており、当然大口からの発注に対するアロケーションが優先されることが予想されるため、当面”一消費者向け”の自作PC(PC DIY)の単品販売に割り当てられる在庫がいつ潤沢に用意されるかという予測を立てることは到底容易な話ではないことは火を見るより明らかだ。
最後に、日本国内特有の問題として為替(円安)がある。DRAMの取引はドルベースで行われるため、たとえ国際的なスポット価格の上昇が緩やかであっても、円安が進行すれば国内の小売価格はダイレクトに跳ね上がる。現に、2025年10月に高市政権が発足して記事公開時点で1か月程度であるにもかかわらず、約2.8%も円安が進行しており、総裁選の時期から考えれば6%を超える円安が現在進行中だ。円安すなわち円の価値がドルに対して相対的に落ちているためドルベースの製品を取引する際により多くの円が必要になるということ。
これら3つの要因が重なっている以上、高値安定は避けられない状況である。ブルームバーグの記事でも報じられているように、数多くのテック企業が半導体メモリーの供給不足が最低でも1年は続くことを指摘しているように根本的に今年の底値圏へはもう戻ることはないものと思われる。

DDR4は値上げしてないの?
「DDR5が高いなら、枯れた技術であるDDR4で組めばいい」と考えるユーザーも多いだろう。確かにDDR4はDDR5に比べて安価であり、既存のマザーボード資産を活かせる利点がある。しかし、DDR4ならば値上げの影響を受けないかと言えば、決してそうではない。DDR4もまた、緩やかではあるが底値を脱し、価格上昇圧力を受けているのが実情である。
DDR4が値上がりするロジックは、DDR5への移行に伴うレガシー化にある。主要なDRAMメーカーは、設備投資のほとんどを最先端のDDR5やHBMに向けており、DDR4の生産ラインを縮小、あるいはDDR5へ転換させている。供給量が絞られれば、当然ながら価格は下がりにくくなる。市場在庫が豊富なうちは安値で推移するが、在庫が掃け始めれば、希少価値という観点からも価格は維持、あるいは上昇する。
また、DDR5のショップ在庫が枯渇傾向にあり、Ryzen 7 5700XなどのCPU価格が底値圏のため、自作PCユーザーやBTOショップがDDR4へ需要シフトすると当然平均価格の上昇を引き起こす。需要急騰に引きずられる形で、DDR4のスポット価格も連動して動く傾向がある。「DDR5が高すぎて買えない層」がDDR4に流れることで一時的に需要が増加すれば、需給バランスが崩れて価格が上がることも十分にあり得るということだ。
自作PCはオワコン?今は買い時ではない?
PCパーツ価格の高騰を目の当たりにすると、自作PCはもはやオワコンなのか?」「今は時期が悪いから買うべきではないのか?」という悲観論が頭をよぎるかもしれない。しかし、2025年11月時点で、Amazonではブラックフライデーを開催しており、様々なPCパーツが年内最安価格で販売されている状況を見ると、結論として自作PC一式のトータル価格的にはさほど影響はなく、必要な時が買い時であるという原則は変わらない。むしろ、一時期高騰していたグラボ価格は年内底値に位置しており、RX 9070XTやRTX 5070Tiが魅力的な価格で購入可能なほか、「今が買い時」のPCパーツも少なくない。
「買い時ではない」と言って購入を先送りにして、半年後に価格がさらに2割上がっていた場合の機会損失を考えるべきだ。パソコンは道具であり、それを使ってゲームを楽しんだり、動画編集で収益を上げたりする「体験」や「時間」にこそ価値がある。価格が下がるのを待って何ヶ月も低スペックな環境でストレスを抱えることは、数千円〜数万円の節約以上の損失になり得る。
まとめ
本記事では、自作PC向けメモリの高騰要因と今後の見通しについて解説してきた。要点を振り返ると以下のようになる。
- 高騰は長期化: 2025年以降もDDR5の高値傾向は続く可能性が高い。
- 原因は複合的: 生成AI向けのHBMへ生産シフト、需要の高止まり/供給ひっ迫、円安が主な要因。
- DDR4も安泰ではない: レガシー化に伴う生産縮小により、大幅な値下がりは期待できない。生産終了延期の話もあるが抜本的な解決にはおそらく至らない。
- 買い時は「今」: 値下がりを待つリスクが高いため、必要な時に必要なスペックを買うのが正解。
メモリ価格の変動は、もはやPCパーツ市場だけの問題ではなく、世界的なAI競争や経済状況と直結している。以前のような「安くて高性能」なメモリが溢れる時代は一旦過ぎ去ったと認識し、予算配分を見直すことが、満足のいく自作PCライフを送るための鍵となるだろう。



