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探す者
PCゲームの映像が物足りないんだよね。もっと4K HDR映像を綺麗で迫力のある感じで楽しみたいんだけど、どんなモニター選んでも同じ風に映ると思ってた。
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(ZACK IT編集)
モニターって安いと1万円下回る価格でも買えてしまうから
おろそかにしがちだよね。今日はHDR 1400に対応するモニターを紹介していく。
HDR 1400って選択肢少ない?
HDR 1000に対応した量子ドット・ミニLEDモニター製品であれば選択肢が増えつつあり、価格も手の届きやすいラインではあるものの、HDR 1400に対応したモニターは、残念ながらまだ選択肢が少ないのが現状。
そもそもHDRって?
HDR(High Dynamic Range)とは、従来のSDR(Standard Dynamic Range)に比べて、より広い輝度幅(ダイナミックレンジ)を表現できる技術のことである。明るさを細かく制御することでより幅広いHDRの映像表現を可能としている。例えば明るいシーンで白飛びがしづらい点や、暗いシーンで黒つぶれしづらく非常にカラーのグラデーションが豊かに表現できることが大きなメリットだ。朝焼けのシーンや夕焼けの空のグラデーションをイメージしてもらえればわかりやすいだろう。つまりはモニター側の性能として、輝度の調整能力がHDRの肝になるわけだ。
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そして、DisplayHDR 1400とは、VESA(Video Electronics Standards Association)が定めたDisplayHDR規格の一つで、1400cd/m²以上のピーク輝度を持つモニターに与えられる最上位の認証である。HDR 1400に対応したモニターは、非常に明るい部分と暗い部分を同時に表現することができ、よりリアルな映像を楽しむことができる。
DisplayHDR 400 | DisplayHDR 500 | DisplayHDR 600 | DisplayHDR 1000 | DisplayHDR 1400 | |
---|---|---|---|---|---|
最低輝度レベル(cd/m2) | 400cd/m2 | 500cd/m2 | 600cd/m2 | 1000cd/m2 | 1400cd/m2 |
最上位の認証グレードの為、製品ラインナップの少ないウルトラハイエンドのみとなるし、価格もやはりこなれているとは言えない現状。ただそれを余りあるHDR映像の没入感に浸れるメリットを享受できるのは間違いない。
量子ドット・ミニLED/DisplayHDR 1400/4K対応モニター
ここでは2機種HDR 1400対応のモデルを紹介していく。
TCL 27R83U | TITAN ARMY M27E6V-PRO | |
---|---|---|
パネルサイズ | 27インチ | 27インチ |
パネル種類 | Fast-HVA (量子ドット/ミニLED) | Fast IPS (量子ドット/ミニLED) |
解像度 | 4K (3840 x 2160) | 4K (3840 x 2160) |
リフレッシュレート | 160Hz | 160Hz |
応答速度 | 1ms (GTG) | 1ms (GTG) |
輝度 | 1400cd/m² (HDR時) | 1400cd/m² (HDR時) |
コントラスト比 | 4000:1 (通常時) | 1000:1 (通常時) |
色域 | DCI-P3 95%, sRGB 99% | DCI-P3 99%, Adobe RGB 100%, sRGB 100% |
HDR | DisplayHDR 1400 | DisplayHDR 1400 |
バックライト (ローカルディミング) | ミニLED (1152ゾーン?) | ミニLED (5088ゾーン) |
Adaptive-Sync | AMD FreeSync Premium | Adaptive-Sync |
入出力端子 | HDMI 2.1 x2, DisplayPort 1.4 x1, USB Type-C x1 | HDMI 2.1 x1, DisplayPort 1.4 x2, USB Type-C(PD 90W対応) x1 |
その他機能 | KVM, 内蔵スピーカー | KVM, 内蔵スピーカー(マイク搭載) |
キャリブレーション精度 | ⊿E<2 | ⊿E<2 |
価格(2025/2/16時点) | 108,000円 | 147,160円 |
TCL 27R83U
TCL 27R83Uは、量子ドット・ミニLED技術を採用し、DisplayHDR 1400認証を取得した4Kゲーミングモニター。先述のスペック表を見ると、同じHDR 1400認証を取得しているTITAN ARMY M27E6V-PROと比べるとコストを抑えたモデルといった印象。
ローカルディミングはHDR映像など高いコントラストかつ明るいシーンと暗いシーンのメリハリを出す必要がある関係上、ゾーンが多ければ多いほどよりリアルな映像を作り出すことができる。1152ゾーンというと非常に一般的なローカル調光のスペックであるといえる。
M27E6V-PROとのすみわけあるいは差別化ポイントとしてはこちらの製品はTCL傘下製造のFast-HVAパネルを採用している点。こちらはM27E6V-PROのIPS系統のパネルとは異なり、高いコントラスト比を出せるVA系統のパネルを使用している点が大きな強みであると言えよう。自社グループでパネル製造まで手掛けるTCLは圧倒的なコストパフォーマンスでハイエンドゲーミングモニターを提供することを可能としている。
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TCLはどこの国のメーカー?
TCLは、中国に本社を置く大手家電メーカーである。テレビやモニターなどの映像機器をはじめ、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器も展開している。近年では、Mini LED技術を搭載した高性能なテレビやモニターの開発に力を入れており、グローバル市場では高い評価を得ている。
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TITAN ARMY M27E6V-PRO
TITAN ARMY M27E6V-PROは、TCL 27R83Uと比較すると更に「全部盛り」したモデルと言える。
Mini LEDバックライトのローカルディミングはTCL 27R83Uの4倍を超える5088ゾーン。有機ELのように素子自体が明滅する仕組みまでとはいかないものの、かなり細かなLED調光を可能にしているため、最高の没入感を得ることができる。
また、工場出荷時に⊿E<2の精度でキャリブレーションを実施し出荷している点は変わらないが、こちらの製品はカバーする色域がDCI-P3 99%、Adobe RGB 100%、sRGB 100%とクリエイター向けモニターさながらの色精度だ。映像を楽しむためだけではなく、クリエイティブ用途にも最適なウルトラハイエンド液晶モニターだ。
TITAN ARMYはどこの国のメーカー?
2014年に中国深センに設立された「Shenzhen Century United Innovation Technology Co., Ltd.」が手掛けるブランドで、ハイエンドゲーミングモニターを中心に展開。母体は「INNOCN」。こちらも日本国内だとAmazonで多数コスパに優れるモデルを見かける。TITAN ARMYは近年、日本国内でもAmazonのみならずパソコン専門店でも販売を拡大し、高いコストパフォーマンスと高品質な製品で注目を集めている。
まとめ
この記事では、量子ドット・ミニLED、DisplayHDR 1400、4Kに対応したモニター2機種の紹介をしてきた。HDR 1400に対応したモニターは、まだ数が少ないものの、TCL 27R83UやTITAN ARMY M27E6V-PROなど、高性能なモデルが登場している。
これらのモニターは、量子ドット技術やミニLEDバックライトを採用することで、従来のモニターよりも高いHDRクオリティを体験可能で、ゲームや映画鑑賞に最適な選択肢となるだろう。モニター選びに迷ったら、ぜひこの記事で紹介した情報を参考に、自分にぴったりの一台を見つけてほしい。